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第1部キーノートスピーチ「MOM IS WOW♪ママは制約?とんでもない、飛躍人材です。」

2018.5.19 sat 『WORK-RE PARTY vol.1@DAIKANYAMA』

第1部キーノートスピーチ「MOM IS WOW♪ママは制約?とんでもない、飛躍人材です。」

長濱孝広氏(クリエイティブディレクター)

 

みなさんこんにちは。長濱と申します。小6と高1のパパです。

そして妻が教員でして、ハードな職場環境ということもあり、役割分担しないと家族が成立しなかったので保育園のお迎えとかシーツがけとか、かつて僕もやっていました。そんな時間を過ごす中で僕が気づいたことが、みなさんの何かヒントになったらいいなと思いまして、今日この場でお話することになりました。

 

普段の仕事は、コンセプトワークがメインです。

いろんな企画や自社内の取り組みに対して、コミュニケーションの方向性やストーリー展開をまとめたりしています。

領域については、もうほぼノンジャンルです。ゲレンデを盛り上げたり、旅行業界を盛り上げたり、ダイバーシティを推進したり、様々です。

 

その中でもこの数年、最も関心を持っているテーマは「働き方改革」です。

初めは仕事として、やらなくちゃってことで関わったんですがこのテーマを探求していくと実に深い。「なぜ生きるのか?なぜ働くのか?」と、どんどん深い問いになっていきます。

そして深いだけあって、ここで得た気づきは汎用性が高いです。子育てや日本の教育など、どんどん広げていける可能性を感じています。

 

それでは、「働き方改革」ってなんでしょうか。いま日本中の人たちが同じことを思っているんじゃないでしょうか。

 

僕は「働き方改革」を「生産性」の話だと置きました。この言葉をよく見ると、「うまれる」という字が3回も入ってるんですね。

そして「生産」の2文字を分解して、「生き方」と「産み出し方」の話だと捉えます。

 

さあここからは、「1:生き方」と「2:産み出し方」このふたつにパラダイムシフトが起きると、すごいブレイクスルーが起きるかもしれないというお話をします。

 

(※パラダイムシフトとは、これまでの意識や概念が、何かどかーんとしたきっかけを通じて大きく変わること。例えば、人生100年時代と叫ばれるようになったことで人生観が変わり、生涯を通じてチャレンジし続ける人が増えたと言われている。)

 

 

■1:「生き方」のパラダイムシフト

介護や病気、旅行など人によってきっかけは色々ですが、特に親になったとき、生き方のパラダイムシフトが起こります。

僕もかつては頑固で自分を曲げないタイプだったんですが、子どもが生まれて変わりました。とにかく優先順位がガラガラ変わったんですね。周りからは別人のようだと何度も言われたくらいです。

生き方のパラダイムシフトについて示しているこの図(下図:image1)は、人類にとって最大級のパラダイムシフトといえる天動説と地動説になぞらえて作っています。

 


<image1:生き方のパラダイムシフト>

左:仕事中心

太陽の方が動いてるといわれていた天動説ですね。昔の人は本気でこう思っていました。

地上を仕事だと捉えると、世界のほとんど全てが仕事です。仕事のことだけ考えられる若手独身の頃はこういう感覚かもしれません。

 

中央:ワークライフバランス

そして結婚したり子どもが生まれたりすると、仕事だけじゃ人生が成り立たなくなってきます。

最近はよくワークライフバランスって言われていますが、僕はむしろこの言葉が壁になっていると思っています。なぜなら、同じ人生なのに天秤にして股裂状態にしているからみんな苦しいんだということがわかってきたからです。

なので、左から中央にシフトするのはベターではあるんですけど、ここで止まってはダメだと。もうひとつ、右までいきましょう。

 

右:幸せ中心

これは地動説になぞらえた図なのですが、中心に「人生(happiness)」があって、その周りをたくさんの要素が囲んでいます。仕事は人生の一部でしかないんです。

 

左は、仕事の外側に人生があるような相関関係でした。これだと仕事に失敗すると人生終わりみたいになる。

中央も、バランスってことは片側が重いともう片側を軽くせざるを得ない。どちらかが損をするような関係です。

 

でも本当に大切なことは、どうやって幸せな人生を生きていくか。

仕事だけじゃなく、育児、地域、複業などが惑星のようにひとつの人生を囲んでいて、自分が幸せなら全部が照らされるんだと整理しました。

この生き方のパラダイムシフトについては、みなさんはきっともう中央や右まで行っている方もいるかもしれません。たくさんの役割があって忙しいみなさんは、自ずとこうなっていくんじゃないかなと思います。

 

自覚されている方もいると思うんですが、仕事に育児に家事に、たくさんのことを同時に進めないといけないときに、優先順位づけの必然性が格段に上がりますよね。今までは全部丁寧に見ていたものを、破壊的なまでの優先順位をつけることができるようになったと思います。

「パレートの法則」っていうのがあるんですが、全体の20%が成果の80%をつくっているという法則。

みなさんの生活行動パターンもこれに近いのではないでしょうか。

 

この写真を見てください。
 (イメージ。名前は仮名)

我が家の子どもたちが保育園で使っていたふとんシーツの記名部分なんですが、上の子から下の子に変えるときに、書類かっていう書き方(二重線)で名前を直したんですね。

上から布縫いつけたりとか、新しいシーツにするやり方もあると思うんですが、なんせうちのママは大忙しの教員ですから。これで済ませたんです。

他にも、子どもの服が濡れてても「着てるうちに乾くわよ」とか、これ食材じゃんっていう食卓でも「お腹に入ったら同じでしょ」とか。僕はこの雑さに結構感動しました。重要なものの見極め方を感じたんです。

 

ある人が言っていたんですが、80点を85点にする労力はもうあんまり意味がない。それは80点のまんまでいいから、200点取れるものに注力せよっていう話にすごく似てるなと気づきました。

今日みなさんもオシャレして来てくれてますけど、きっと家では雑な姿があるんじゃないですか笑。

 

子育ては留学に似ているという人もいる。今までの自分と違うところへ赴いて何かを学んで気づいて戻ってくる。

子育てを難易度が高いプロジェクトに例えて、優先順位のつけ方やリーダーシップが育つという人もいます。

 

こういうたくさんの理由から、僕ももっとママを登用すべきだと考えています。

 

 

■2:「産み出し方」のパラダイムシフト

次は、「産み出し方」についてです。

僕も若い頃は、時間をかけただけ仕事の質が上がるんだと思っていました。

これまでは「圧倒的な行動量が成果を生んだ」と評価されたり、10,000時間の法則とかいわれていたんですが、子育てしていると時間が全然なくなるので発想から変えないといけない。

 

この図(下図:image2)は、働き方改革を推進したり新しい事業戦略を考えたり、組織の進化を考えるとき、いろんな時のベースに使っているもので、僕の経験と気づきが凝縮したオリジナルの概念図です。

これが本日のメインディッシュです。


<image2:産み出し方のパラダイムシフト>

好奇心から始まって、受容性、多様性、社会性/利他性、共創性、最後は革新性へと巡ります。

これをみなさんに理解してもらうことが今日の僕のミッションです。

 

持続的成長や個人の進化を考えるときに、これまでは食物連鎖ピラミッドの頂点である肉食動物をヒントにすることが多かったんですね。でも最近は、ピラミッドを下支えしている植物から学ぶべきだという主張が増えています。地球上の多細胞生物の99%は植物で、それより上の層の多くは絶滅の危機に瀕している。どこから切っても根を生やし、個体を増やす力も強い植物の進化のプロセスから学ぶべきだと。

 

この図のイラストも、植物のサイクルを参考にしています。

「好奇心」は、種です。何の花が咲くかわからない。それでも蒔いてみるかどうか。

「受容性」は、芽が見えなくても、水をやり続けたり土を耕し続けること。失敗や挑戦を許せるかどうか。

「多様性」は、個性豊かないろんな芽がでてくること。

「社会性/利他性」は、咲いた花です。媒体者にアピールして受粉するための、花はデザインともいえます。

「共創性」は、他の種族を利用して受粉をすること。仕事を個人戦ではなく団体戦と捉えること。

「革新性」は、実った果実ですね。そしてまた種が生まれてサイクルが巡っていく。

 

そして今日は、このサイクルを題材にした紙芝居を作ってきました。

分かりやすいようにと思ったのですが、もしかしたらブレイクダウンし過ぎたかもしれません笑。

 

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『ママクリエイター版 ももたろう』

 

むかしむかしあるところに、ママクリエイターがいました。

川のそばで、入稿前の修正作業をせっせとやっていました。クライアントからは真っ赤な指示が来ています。修正が間に合いません。

パパは芝刈りという名のゴルフに行っています。あ、決してパパをディスってるわけじゃないですよ笑。

 

すると、川に大きな桃が流れて来ました。子どもたちは「ママ、桃!桃!」と教えますが、ママは見向きもしません。パパも気づきません。桃は完全に流れていってしまいました。ガーン。

ありがち、ありがち。

 

今度はパイナップルです。

でも相変わらずママは赤字対応で忙しいので、やっぱり流れていってしまいました。

 

でもこれで終わると今日の話が意味なくなってしまいますね。

 

そしてまた別の日。もっと大きな桃が流れて来ました。

親に頼っていても話が進まないので、子どもたちは自力で家まで持って帰りました。どーん。

ママは「こんな大きな桃どうするのよ!」と言いつつ、桃を割りました。受容性のあるママです。

すると中から、ちょっとセンスのない服を着たももたろうが生まれました。センスのなさもまた個性ということで、そのまますくすく育ちました。

それぞれ好きなものも違う子どもたち。世の中のために自分はどうしようかなと将来の夢を描きます。

ももたろうは渋谷で暴れる鬼を退治したいなと考えます。

そして諸々省略しますが、最後は仲間たちとともに鬼を追っ払います。

 

今日も、川には何かが流れてくるかもしれません。

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…最初の話覚えてますか?

産み出し方のパラダイムシフトは、とにかく好奇心が起点です。

好奇心が妨げられることは、クリエイターとしてだけでなく、ビジネスマンとしても由々しきことです。

「忙しいからあっち行ってて!ももなんか拾ってる場合じゃないの!」というありがちなこの状況、これこそが働き方改革の必要性だと捉えるとすごく分かりやすいんじゃないでしょうか。

好奇心がなくなると、桃は流れていってしまいます。学ぶ意欲もなくなるし進化もありません。

 

とはいえママもパパも、毎日やることがいっぱいで一見すると好奇心を失いやすい環境にも見えます。

でもそれは考え方次第で、実は産み出し方のパラダイムシフトが起きる人生最大のチャンスでもあります。

なぜなら子どもは、40,000回質問すると言われるほど好奇心の塊。好奇心の先生です。好奇心を失い続けるのが人生だという方もいますが、大人になった今、先生の近くで毎日過ごせる子育てを、素晴らしい成長機会と考えませんか。

進化の物語をスタートさせるために不可欠な好奇心を、もう一度復活させるチャンスだと。

ビジネスマンとしてもクリエイターとしても、そこに時間を投じるのは全く惜しくないなと実際僕も子育てしていて思いました。ももスルーは禁止です。

 

 

今日お配りしたワークシートに、このサイクルの補足説明を入れつつまとめています。

お隣の人とペアになって、このサイクルについて少し話し合ってみてください。

 

~ワークタイム~

 

*参加者(会社員パパ):

子どもへの受容性を失いたくないよね、と話していました。

ダメって言いたくないから、子どもの好奇心を先回りで摘んでいる可能性があると気づいた。

砂場で汚れてほしくないからすべり台へ誘導したり、ごはんも自分で食べられるのに、ついあげちゃったり。

 

*参加者(会社員ママ):

最近、4歳の子どもがハンガーにかけていたカーディガンをハンガーごと着ていて、大笑いした。

そういうネタを楽しんで、クリエイティブに活かせたらいいなと思っています。

 

*参加者(フリーランスママ):

家族みんな好奇心は旺盛。

子どもの好奇心と自分の好奇心が共通しない場合、

子どもを尊重すると、自分が我慢しているように感じることがあります。

 

<長濱さん回答>

共感します。僕も同じように思ったことがありました。

ですがイノベーションのことを学んでいくと、自分の想定内でいる限り、超えられない一線がある。

だから子どもの好奇心に委ねてみようと。

そう考えることで、自分の好奇心を引っ込める理由を見つけました。

 

 

さて、色々とお話をしてきましたが、今日持ち帰っていただきたいことはひとつです。

ママであることは、足かせではありません。むしろ人生最大級の飛躍の瞬間にいるということに気づいて欲しい。

生き方、産み出し方のパラダイムシフトが同時に起こる可能性のある、奇跡のような瞬間にいるんです。

そう自覚していただくと、日頃子どもと過ごす時間が気づきや感動の宝庫に変わっていきますので!

 

ママはこれからの社会を変えていくと、僕は本気で思っています。

 

今日の話がみなさんの勇気になったら嬉しいです。

ありがとうございました。