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第2部トークセッション「自分らしく生きるために、現役ママクリエイターが選んだ働き方」

2018.5.19 sat 『WORK-RE PARTY vol.1@DAIKANYAMA』

第2部トークセッション「自分らしく生きるために、現役ママクリエイターが選んだ働き方」

フルタイム会社員 笠原 美和氏(フリーランスデザイナー、元広告制作会社 アートディレクター)

時短公務員    並木 優氏 (世田谷区役所 職員)

フリーランス   三上 悠里 (フリーランスデザイナー 兼 mom.entアートディレクター)

 

~登壇者紹介~

 

笠原 美和さん

多摩美術大学卒業後、広告制作会社にてアートディレクターとして約19年間勤務。

2018年5月からフリーランスデザイナーとして独立。中学1年生の男の子のママ。

 

並木 優さん

早稲田大学大学院修了後、世田谷区区役所に入庁。

業務以外にも、若手公務員の勉強会や地域の人が集まる場づくりなどに取り組む。2歳半の女の子のママ。

 

三上 悠里さん

武蔵野美術大学卒業後、広告制作会社、デザイン事務所を経て独立。

現在はフリーランスとmom.entアートディレクターのダブルワークスタイル。1歳半の女の子のママ。

 

―――――――

―本日のセッションに向けて、お三方には自分の人生について図を書いてきていただきました。

第1部の講演になぞらえて、それぞれの人生(hapiness)を中心に、どのような要素で人生が構成されているのでしょうか。

 

笠原さん(以降敬称略):

今年の春まで、20年近く広告制作会社に勤めていました。

人生を樹木にたとえて考えてみました。葉っぱの数でいうと仕事が7割くらい。自分のアクセサリーブランド「Opitopa」の活動も大事に育てたいですね。もちろん家族も欠かせない要素で、ここ数年は健康のことも意識するようになってきました。

 

並木さん(以降敬称略):

私は学生時代から土木・建築の視点から都市について学んでいました。

去年5月に職場復帰し、育児を通じて広がった自分の興味を活かしたいという思いもあり、個人的な活動にも取り組むようになりました。

今は自宅の近くに子どもたちが集まれる場づくりを計画しています。

 

三上さん(以降敬称略):

新卒で笠原さんと同じ会社に入社して、その後デザイン事務所勤務時代に妊娠出産を機に、約2年前にフリーランスとして独立しました。

仕事だけでなく、個人的な活動や趣味などそれぞれが相関関係を結びながら、マトリクスのような図になりました。

なにかモヤモヤしている方がいたら、ぜひ一度こういう風に書き出してみるとなにか発見があるかも。

<会社員・笠原さん>

 

<公務員・並木さん>

<フリーランスデザイナー・三上さん>

 

―みなさんそれぞれが、いまの働き方を選択するまでの経緯やきっかけがあれば教えてください。

 

並木:

私は学生時代から研究の一環で自治体の仕事に関わることが多く、興味を持ち、働き始めて6年目です。

制度も整っており働きやすさだけでなく、続けやすさもあります。いまは時短で勤務しています。

土木や建築においては自治体にしかできないことも多く、まだまだ可能性のある仕事だと思っています。

 

笠原:

仕事一色の20代を経て、30歳頃に出産しました。

仕事がどんどん面白くなってきた時期だったので、産後4ヶ月で復帰し、それまでと同じペースで働こうとしたんです。だけど2ヶ月経った頃に過労で倒れて入院する事態に。そこでようやく、産前とは違うんだと気づきました。

それからは働く時間を変えました。夜遅くまで残るのではなく、朝早く出勤して効率よく仕事を進めるとか。子どもの成長にあわせて生活リズムを微調整して、働き方を変えてきました。

 

三上:

同じ会社の同じ部署で、当時からママだった笠原さんを見ながら育ちました。デザインの仕事はずっと続けたかったし、だけどいつか子どもも欲しいと思っていたので、そのとき自分はこんなにタフに働き続けられるのだろうかとずっと感じていたんです。

そしてフリーランスとしてやっていくことを目標にしてデザイン事務所に転職。2年半修行してから妊娠出産をきっかけに独立しました。

でも独立して気づいたんですが、ひとりになるとこれまでの技術やアイデアを切り売りするような仕事になりがち。今後のことを考えると失敗もできないし、成功しやすい方法をどうしても選ぶことが多く、成長速度が落ちてきたことを感じていました。

そんな頃に縁があって、フリーランスの活動は継続しつつもmom.entにも所属するという働き方を選びました。

 

―社会人になってすぐから、子育てと仕事の両立を目標にキャリアを選んできたということですか?

 

三上:

そうですね。笠原さんの影響は大きかったです。

当時の部署にもう一人ママさんがいたのですが、この会社のこの職種で、ママとして働き続けることってこういうことかと現実を目の当たりにしていて、自分はその時同じように頑張れるだろうか、と自信が持ちきれなかった部分もありました。

 

 

―それでは続いて、いまの働き方についてうまくいっている、もしくはいっていないと思うことは?

 

笠原:

ひとつめは、人数がいるので部署やチーム内で補完しあえること。

ふたつめは、仕事がたくさんあること。子どもがまだ小さいうちは、年間スケジュールが確定した仕事をメインに受けていました。事前にスケジュールが分かっていれば、預け先も準備しておくことができますから。

 

制度などについては、約10年前の当時はまだ十分とは言えませんでした。

この数年で、ずいぶんと充実してきています。現実的には浸透や取得率等に課題感もあるものの、取得数は徐々に増えています。会社も社員も変わってきたなと感じますね。

でも指標のひとつであるママ管理職の実績は少ないです。

 

並木:

出産育児関連に限らず、各種制度は整っています。休みが取れるのは当たり前、という感覚です。

職場のロールモデルとしても、5人の子どもを育てながら管理職を務めるような女性職員もいるくらいです。

 

一方で、公務員の働き方に対する課題感もあります。

技術の進歩や価値観の変化など大きく時代が変わっているなかで、これまでを踏襲した働き方を続けていたら大きな問題がでてくるんじゃないかと危惧していて。最近企業での複業解禁が頻繁にニュースになっていますが、公務員も自分の興味関心に対してもっと注力できる制度ができたらいいなと思い、まずは内部から、働き方を変えていくための活動をしていきたいなと。

(※現在の公務員は、一部地域を除いて原則複業禁止。)

 

三上:

フリーランスになって一番よかったことは、自由がきくこと。

お客さんと直接対話ができる関係性が多いので、必要があれば自分の状況を伝えています。

その反面、自分の調整次第ですぐにスケジュールがパンクして、徹夜になってしまうことも。この仕事が好きなので、本当はもっとやりたい気持ちもある。お断りしなくちゃいけないときは辛いし、この判断は結構難しいですね。

 

 

―育児をともに担ってくれる周囲との関係性はどうですか?

 

三上:

妊娠中から、夫とはもちろん、同居している実母とも十分話し合いました。

ベビーシッターや行政サービスなども早いうちから登録しておいたり。

 

笠原:

実母か義母に、平均して1ヶ月のうち1週間ほど自宅に来てもらっています。先週もロケがあって、実母に来てもらいました。

あとご近所のつながりもすごく重要。お祭りなどの地域活動を通じて親しくなったママコミュニティがあって、普段からLINEで助け合っています。突然の残業が入ってしまった時はお友達のおうちでごはんとお風呂まで面倒見てもらったり。お互い様の精神で、みんなでみんなの子を育てている感覚です。

 

並木:

うちは今のところ娘を預けられる先は保育園だけ。基本的には夫婦ふたりで育児をしています。

LINEで預けられるママ友、羨ましい!

 

私も地域での子育てというか、子どものための場づくりがしたくて夫と一緒に最近動き始めました。

現在は現在住んでいる新宿区内で物件を探しているところです。

 

いま娘は2歳半ですが、あと数年で小学生になります。そのときにぶつかるであろう「小1の壁」に対して個人的な不安と強い思いがあって。

区の学童などはありますが、なんとなく遊びながら時間をつぶすのではなく、放課後を有意義に過ごせる場所にしたいなと。宿題を見てあげて、必要な子には食事やおやつを出したり、地元の先生を招いて英語やプログラミングの教室を開いたり。そういう場所って都心にはまだまだ少ないのですが、地域活動に熱心な方にこの思いを話したらすごい拡散してくれて。他にも協力したいと言ってくれる方もいます。

強いニーズを実感して、ますますやる気になっています!見えないところで意欲的に活動している方たちとうまくつながって、共感してくれる方たちと一緒にあちこちで立ち上げていきたいなと構想しています。

 

 

―「地域で子育て」、多くの人が興味を持っているテーマだと思います。ぜひいろんな地域に展開してほしいです!

 

先ほど「小1の壁」という言葉が出ましたが、子どもの年齢によってぶつかる壁も変わります。

乳児期を乗り越えた笠原さん、何か突破点となったことはありますか?

 

笠原:

まだ子どもが保育園児だった頃、仕事が忙しい日が続くと「最近荒れてますよ」と保育園から指摘されることもありました。

後ろめたく思うことも多かったんですが、「ママは働いていて、しかもなんだか楽しそうだ」っていう姿を息子は10年以上見続けていて、小学校高学年くらいからかな、今から帰るよって電話すると、「ポテトサラダとお味噌汁は作ってあるから、唐揚げだけ買ってきて」って言ってくれるようになるほどに成長しました。洗濯だってやるし、ご近所の仲良しのおばあちゃんからもらったお花をリビングに飾ってくれることもあります。お腹が空けば自力で用意するし、環境に合わせて成長してくれる。

 

頑張っているママの姿を見続けることで、大好きなママのために自分にできることはなんだろうと、子どもも考えるようになってくれた。

最近は、私は間違ってはなかったんじゃないかなと、そう思えるようになりました。

 

三上:

そのエピソードは心強い!子どもの自分で成長する力ってすごいですね。

 

 

―それでは「企業」についても少し聞かせてください。

所属先への要望や、ストレス少なく過ごすためのマインドセットなどはありますか。

 

並木:

私は約1年前に復帰してからしばらくは不満、不安ばかりでした。

これから技術が進歩していく中で公務員の仕事の大半はなくなる可能性もあると思っています。効率化や技術革新の先に、クリエイティブな要素を入れたりとか、今まで公務員がやってこなかったような新しい道を模索しなくてはいけないのではと。

内部から変えたいのですが、世代の隔たりなどもあってなかなか難しい。でもまずできることからということで、若手公務員グループを立ち上げて勉強会を始めました。やる気のある若手公務員は実はたくさんいて、自治体や省庁など垣根を超えて巻き込んだりして、ちょっとずつ社会を変えていけると信じて活動を続けています。

 

笠原:

こちらも制度は充実してきていますが、介護であれ育児であれ、取得すると社内で「そういう人たち」とフィルターをかけられてしまうことも実情です。同じママでも一人ひとり事情は違うのに、ママだからこの案件は違うよね、なんて声が聞こえてくると、属性でくくられている現実を感じます。そういう一方的で大雑把なフィルターが、これから外されていくといいなと思います。

 

 

―それぞれの立場から、いまの「社会」はどう見えていますか?

 

三上:

会社員時代はお客さんの顔が直接見えなかったり、大所帯のチームで取り組む際に個々人の事情が押さえ込まれるような時に、社会が大きな壁のように感じることもありました。

でも今は、社会という大きなものを感じることって案外少ないです。お客さんとの1対1の関係がそのまま社会への印象になる。そう考えると、フリーになってからすごく楽になりました。

 

笠原:

私も三上さんと近い感覚かな。会社にいると、チームや案件によって自分の立ち位置や振る舞いにとても気を遣っていました。

フリーになってからは、自分個人の強みをどう伝えてチャレンジにつなげていけるかっていうことを新鮮に感じている日々です。

 

並木:

公務員としてというよりも、いち個人として出産前後で社会の見え方が大きく変わりました。

産前は隣に住む人の顔も知らなかったし、地域のイベントに参加したこともなかった。出産してから初めて自分が暮らす地域に興味を持つようになりました。実は同じマンションに娘と同い年の子が何人もいたりして。

地域や親子のありかたへの意識が強まったことで、仕事の場面でも住民さんとの会話から気づくことが増えたり、いい影響もあります。

 

そして社会全体の流れも、定年まで同じ会社で稼ぐことが当たり前ではなくなってきていますよね。人とのつながりや自分自身のワクワクに価値を見出す人が増えている。私ももっとプライベートの活動を充実させていきたいと思っています。

雇用形態や働き方にしばられず、自分の好きなことがお金や人脈につながる社会になっていくんじゃないかな、なってほしいな。

 

 

―初めにご覧いただいたそれぞれの図に戻りますが、

自分らしい人生を実現させるための優先順位について、書きながら思ったことはありますか?

 

並木:

私は家族をいちばん大事にしたいと常に思っています。

実家が自営業で仲も良く、家にいる時間が大好きだったので自分もそんな家庭をつくりたいなと。家族ができたことで広がった知見や思いを、場づくりなど自分の活動につなげていきたいです。

 

笠原:

私ははっきりとした優先順位はつけられませんでした。

多くの時間を仕事に使っていますが、そこでの出会いが家族に還元されることもあって、自分の中では全てがつながっています。

 

三上:

子どもが生まれてから、自分にとって大事なものをクリアにすることが必要だと思っていました。でもそれは「優先順位を付ける」というのとは少し違う。私にとって一番重要なことは「自分が楽しくワクワク生きていけるかどうか」です。この気持ちに正直に生きてきたら、この図のように自分の大切なものたちが点から線になってきて、自分らしい人生になってきたんだと気づきました。

娘が寂しかったら私はワクワクしないし悲しいから、そうはなりたくない。だからやっぱり、優先順位はつけられません。

 

―「優先順位」という考え方ではなくて、大切にし続けたいものたちがつながって、自分らしい人生をつくっていくのかもしれないですね。

 

三上:

「どういう状態が自分にとって心地いいのか」を大事にしていけたらいいのかなと思います。

 

―長濱さんの講演での、ハピネスの話題に戻ってきましたね。

仕事でハイパフォーマンスを発揮するにも、自分らしく生きていくためにも、「自分にとっての幸せな状態」を見つめ続けることが大きなヒントかもしれません。

 

ありがとうございました